関節リウマチの原因 #

まだ充分には解明されていません.ひとつの原因だけで引き起こされるのではなく,いくつかの要因が重なり合って発症すると考えられています.

関節炎を誘発しやすい物質としては,ある種の細菌やウイルスが候補に挙がっています.これに反応しやすい素因(遺伝子#、免疫異常# *等)を持つ人に病気が発症するのではないかと考えられていますが結論は出ていません.  

 

関節リウマチの診断基準

アメリカ・リウマチ学会の診断基準 (American College of Rheumatology:1987)

1:  少なくとも1時間以上持続する“朝のこわばり”
2:  3個以上の関節の腫れ
3:  手関節または中手指骨関節または近位指関節の腫れ
4:  対称性の関節の腫れ
5:  手・指のレントゲン写真上のリウマチ性変化 #
6:  皮下結節
7:  リウマトイド因子(Rheumatoid Factor) # の陽性
    
( 「リウマチ反応(〜因子)」という用語はありません )

 

 

<< 判定方法  >>

項目1〜4は6週間以上持続することが、医師によって確認されること

上記の7項目中,4項目以上を満たすとき,関節リウマチと診断

上記診断基準のうち、関節症状はいずれも ”痛み” ではなく ”腫れ” であることが重要です。 これはリウマチが、関節ではなく多発関節だからです.

 

 

ACR/EULAR の分類予備基準(ACR Clinical Symposium ; 2009)

START

   

ヶ所以上の関節に腫れがある

腫れた関節があったら関節リウマチを疑う    
 

NO

YES

 

現時点で関節リウマチとは
診断できない

     

他の疾患による腫れである

←?

関節リウマチ以外の原因による関節の腫れは除外される
 

NO

YES

 
   

通常のX線
写真で関節の
ビランがある

     

現時点で関節リウマチとは
診断できない

 

NO

YES

 

下の分類基準を適用する

     

関節リウマチ
と診断

1カ所でも腫れた関節に骨ビランが見られたら関節リウマチと診断される

<<判定方法>>
下の4項目スコアの合計が6点以上となれば「関節リウマチ」と診断する

1:腫脹関節数腫れた関節の数) スコア
=1ヶ所;中、大関節(肘、肩、股、膝、足関節)
>1ヶ所 ;中、大関節
1-3ヶ所; 小関節(MCP、PIP、第2〜5MTP、第1IP、手関節)
4-10ヶ所; 小関節
>10ヶ所 ;大中小の関節を問わず
2: リウマトイド因子抗CCP抗体 スコア
陰性
低値(基準値の3倍まで)
高値(基準値の3倍以上)
3:関節炎の持続期間(患者自身の申告) スコア
<6週間
>=6週間
4:急性炎症蛋白(血沈/CRP) スコア
正常
異常

  抗CCP抗体(=抗シトルリン化ペプチド抗体)
検査の感度と特異度

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リウマチの画像 #

近位指関節(PIP)の関節腫脹
紡錘状の腫れで、関節近辺のしわが伸びて見える.皮膚の色も幾分濃く見える.

 

初期の 関節狭少化と骨ビラン像

(関節の隙間が狭くなり、矢印の部位に辺縁が不鮮明で虫食い状の骨ビラン像)

 

明瞭な骨ビラン像

(はっきりした骨ビラン)

 

進展した関節の病変
関節面の骨破壊像と亜脱臼

 

肘の近くに出来やすい”リウマチ結節”

 
 

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参考:他の疾患による指の病変 #

ヘバーデン結節
変形性関節症による遠位指関節 (DIP;矢印)の変化..老化や使いすぎ等が病気を進めるが、機能が比較的良好に保たれる点がリウマチとの相違点のひとつ.
遠位指関節(DIP;矢印)に骨棘と関節の狭小化がある.

Bouchard(ブシャール)結節(矢印)
(ヘバーデン結節も併発)

変形性関節症による、近位指関節(PIP;矢印)の変形.(遠位指関節のヘバーデン結節、爪の病変も併発)
レントゲン上、近位指関節(PIP;矢印)と遠位指関節(DIP)の狭小化、骨棘がみられるが、リウマチに特徴的な骨ビランの所見がない.

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基本的治療方針

診断断が確定したら,早期に抗リウマチ剤の投与を開始するのがよいと言われています.抗リウマチ剤は効果発現までに日数を要し,副作用が比較的出やすい薬剤で,なおかつ長期間服用し続ける必要があるので,薬剤の選択には慎重を要します.

従って,専門医による,注意深い経過観察のもとで服薬を続ける必要があります.生活の質(QOL)の向上を目指して,非ステロイド性抗炎症剤,少量の副腎皮質ホルモン剤の併用等を行う事があります.

QOLQuolity Of Life (生活の質)

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治療の目標

治療の目標をまとめると下の表のような事が上げられます.

免疫異常の是正

炎症の抑制
疼痛の軽減
関節機能の維持
関節の変形・強直の予防

生活の質(QOL)の向上

最終的には;

1:緩解への導入(ARC基準)

2:生活の質(QOL)の向上
 

 

関節リウマチの治療薬

 

1.非ステロイド性
抗炎症剤

(NSAID)

(速効性)

炎症を抑え,関節の腫れ,痛みを抑える薬剤です.服用後30分から1時間で効果が現れます.胃腸傷害などの副作用が起きやすいので,胃薬と併用したり頓服として痛みのあるときだけ服用するなどの配慮が必要です.

COX2阻害薬と言って、胃腸障害を少なくするよう工夫されたNSAIDも開発されていま.ところが、その中には心筋梗塞などを起こしやすくする こともあるという報告もあります

2.副腎皮質
ホルモン剤
(ステロイド剤)

(速効性)

強力な抗炎症作用で,関節の腫れ,痛みを抑えます.生活の質(QOL)を向上させるために,少量を他の薬に加えることがあります.

急激な減量や中止は,“跳ね返り現象”を引き起こし,症状が急激に悪化したり,全身の状態を悪くすることがあります.

大量を長期に続けると, 重大な副作用の出ることがありますから,指示通りの服用量を守る必要があります.

3.抗リウマチ薬
(DMARD)

(遅効性)

免疫の異常を改善して,病気の進行を遅らせる作用があると考えられている薬剤です.効果発現まで2〜3ヶ月かかりますが、効果が出始めると確実に関節の腫れや痛みを軽減し、関節の変形などリウマチの進展を抑える事ができるといわれています.

重大な副作用のでることもありますから、定期的な通院と検査が必要になります.自分の病気に効果があり、副作用のない薬を見つけ、根気よく服用を続けます.

下記、「遅効性抗リウマチ薬の種類」の項を参照

4.生物製剤 下記、「生物製剤」の項を参照

NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs (非ステロイド性抗炎症剤)
DMARD:Disease Modifying Anti-Rheumatic Drugs (疾患修飾性抗リウマチ剤)

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遅効性抗リウマチ薬 (DMARD)の種類

 

薬 剤 名  経路 使 用 量  商 品 名
金チオリンゴ酸ナトリウム 注射 1〜2週に1回
(10〜25mg)
シオゾール
D−ペニシラミン  経口 50〜300mg メタルカプターゼ
ロベンザリット 経口 40〜240mg  カルフェニール
オーラノフィン 経口 3〜6mg  リドーラ
ブシラミン  経口 50〜300mg  リマチル
ミゾリビン 経口 150〜300mg  ブレディニン
アクタリット  経口 100〜300mg  モーバー
オークル
サラゾスルファピリジン  経口 500〜1000mg アザルフィジンEN
メソトレキサート  経口 週に4〜16mg リウマトレックス
レフルノミド 経口 100mg3日間
以後
10〜20mg連日
アラバ
タクロリムス 経口 1.5〜3.0mg プログラフ
イグラチモド 経口 25mg〜50mg コルベット
ケアラム

普通、効果発現までに2〜3ヶ月かかります.指示された期間服用を継続し,自覚症状や検査値から有効性を判定します.期待した効果が得られないときには,増量したり,他剤に切り替えたり,他剤を追加したりといった工夫が必要になります.

いずれも副作用が比較的出やすい薬剤です.皮膚のかゆみ,血液の障害,肝臓,腎臓,肺等の重大な病変を引き起こすこともあります.定期的に通院して注意深い観察と検査を受ける必要があります.異常を感じたら 服用を中止して、直ちに主治医に連絡して下さい.

サラゾスルファピリジンと薬剤性過敏症症候群


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生 物 製 剤, そ の 他

レミケード、ヒュミラ シンポニーエンブレルアクテムラオレンシアKineret
リトキシマブシクロスポリン  JAK阻害薬(低分子量化合物)   開発中の薬剤

1.抗サイトカイン療法

リウマチの関節炎を進行させる上で大きな働きをしているサイトカインという物質のひとつに組織壊死因子(TNFα)があります.この物質は細胞表面のTNFα受容体に結合して炎症反応を進める別のサイトカイン (IL−1IL− 6など)の産生を高め病気をさらに進行させます.このサイトカインの働きを抑える治療法(抗サイトカイン療法)が開発されています.

新しい概念の薬剤ですが、リウマチの原因をなくす薬ではありません「リウマチを完治させる」と誤解している情報もあるので注意が必要です.強い副作用もあるので安易に使用できる訳ではありません.極めて高価な治療を長期間にわたって継続しなければならない事も考慮する必要があります.

適応 :「どのような状態の人に使えるのか」##

活動性の条件:

既存の抗リウマチ薬(DMARD)註1)通常量を3ヶ月以上継続して使用してもコントロール不良の 関節リウマチ患者.
コントロール不良の目安として以下の3項目を満たす者.
@ 圧痛関節 6個以上
A 腫脹関節 6個以上
B CRP2.0mg/dl あるいは 血沈28mm/hr以上
これらの基準を満足しない患者においても、
・ 画像検査における進行性の骨びらんを認める
・ DAS28-ESRが3.2(moderate activity)以上
のいずれかを認める場合も使用を考慮する.

註1)インフリキシマブの場合には、既存の治療とはメトトレキサート(MTX) 6〜8mg/週を指す。エタネルセプトの場合には、既存の治療とは本邦での推奨度Aの抗リウマチ薬である、 MTX、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、レフルノミドと、2005年以降承認されたタクロリムスを指す。

安全性の条件:

日和見感染症の危険性が低い人(以下3項目を全て満たす)
@ 末梢白血球数   4,000/mm 以上
A 末梢リンパ球数 1,000/mm 以上
B 血中 β-D-グルカン陰性

投与禁忌:
(使えない人)

@ 活動性の感染症がある人
    活動性結核、抗酸菌感染症、B型肝炎ウイルス感染者(C型肝炎感染者では慎重投与)
A 胸部レ線上、肋膜肥厚、索状影、5mm以上の石灰化影を有する人(慎重投与は可能)
B 結核の既往者(慎重投与は可能)
C うっ血性心不全(NYHA分類 III度以上=通常以下の軽い運動で心不全症状が出る)の人
D 悪性腫瘍、脱随疾患がある人

関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害療法施行ガイドライン(改訂版)による

 

2.生 物 製 剤 の 種 類

 

生 物 製 剤 の 種 類

抗・TNFα抗体

 

 

炎症の引き金となる物質(TNFα)と細胞の受容体との反応を妨害し、リウマチの炎症反応を抑えます.今までの薬剤で効果の得られなかったリウマチにも有効性が認められていますが、重大な副作用も予想されます.投与中止後の跳ね返り現象(症状の悪化)や、強いアレルギー反応などが起きる可能性が心配されます.発熱、発疹、肺炎 などの感染症(特に結核の再燃、重症化)、呼吸困難、肝機能障害、腎機能障害なども報告されています.

インフリキシマブ(一般名) 商品名:レミケード
遺伝子組み換えにより作成したネズミのモノクロナール抗体とヒト抗体の一部を結合したキメラ抗体.
2〜8週間毎に点滴(静脈)注射長期の使用で中和抗体が産生され効果が減弱することがあります.それを予防するために免疫抑制剤(メソトレキサート)との併用が必要です.
 

アダリムマブ(一般名) 商品名ヒュミラ

完全
ヒト型抗TNFαモノクロナール抗体2週間に1回の皮下注射を続けます.在宅での自己注射が可能です.

<ゴリムマブ(一般名) 商品名:シンポニー
ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤.月に1回の皮下注射を続けます.
在宅での自己注射が可能です.

 

ヒト型可溶性TNFα
受容体製剤

 

ヒトの細胞表面にあるTNF受容体(p75分子)の一部と同じ構造の物質(可溶性TNFtypeU受容体)と、ヒトの抗体の一部(IgG1-Fc)を結びつけた構造をしています.TNFαと結合して、TNFα が細胞上のTNFα受容体 に結合するのを阻害し、リウマチの炎症反応を抑えます.メソトレキサート(MTX)が無効なリウマチに、この注射を併用すると有効性が高くなることが確認されています.MTXと併用することで、より有効性が高まり、破壊された関節病変が改善してきたという報告もあります. 長期の使用でも効果が減弱しにくいといわれています.感染症(咽頭炎、肺炎、結核、敗血症、ウイルスや真菌の感染など)、注射部位などの皮膚反応、間質性肺炎、血液障害、脱随疾患、ループス様症状などの副作用が心配されています.

  エタネルセプト(一般名) 商品名 :エンブレル
ハムスターの細胞を使って遺伝子組み換えにより作成した糖タンパク質です.週1から2回の皮下注射を続けます.在宅での自己注射が可能です.

抗IL−6
レセプター抗体

IL−6の受容体に対する抗体(遺伝子組み換えによるマウスのヒト 型モノクロナール抗体)で、IL−6 が受容体へ結合するのを阻害することにより、接着分子の発現を抑え、リンパ球のアポトーシス(細胞死)を誘導し、結果的にリウマチの炎症を抑制する効果が期待されています .

アトリズマブ(一般名);商品名:アクテムラ
月1〜2回の点滴静注で高い有効率があり、副作用の発現 (コレステロールの上昇、肝酵素の上昇、白血球減少、感染症など)も許容できる範囲内と報告されています. 皮下注射用の製剤では、在宅での自己注射が可能となりました.

IL-1 拮抗剤
(IL-1Ra)

炎症や免疫反応により、IL-1というサイトカインの産生が高まり、軟骨や骨の破壊を進める困った働きをします.このIL-1は炎症局所の細胞のIL-1受容体に結合して作用します.Anakinra(アナキンラ)は、IL-1と受容体との結合を競合的に阻止する薬剤で、recombinant DNA法により大腸菌に作らせた、153個のアミノ酸で構成される薬剤です.

アナキンラ(一般名);商品名 :Kineret
100mgを連日皮下注射します.好中球の減少、重大な感染症の合併が報告されています.特に抗TNF剤との併用は禁忌です.リンパ腫(一般集団での発生の3.6倍)、乳ガン、消化器癌、メラノーマ等の悪性腫瘍の合併が報告されています.

日本での使用は、まだ認可されていません.

 

CTLA4-Ig製剤

CTLA-4 の細胞外ドメインとヒトIgG1のFcドメインの結合物(ハムスターの卵巣細胞で作成).抗原提示細胞の CD80/CD86(B7) に結合し、T細胞の CD28 と B7 の結合(正のシグナル)を阻害する(免疫抑制効果).その結果、T細胞を活性化する IL-2、TNF-α、INF-γ などのサイトカインの産生が減 って、リウマチの炎症が抑えられると思われます.

アバタセプト(一般名);商品名:オレンシア
最初に投与した日(初回投与日)から数えて2週間後に2回目の投与を行い、次に初回投与日から4週間後に3回目の投与を行います。その後は4週間ごとに点滴静注します

限定した施設でのみ投与が行われています.

 

抗CD20キメラ抗体

リトキシマブリ(一般名);商品名リツキサン>
悪性リンパ腫の薬剤ですが、リウマチに対する効果を見る治験が行われています.

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3. 生物製剤がかかえる問題点##

1.     注射時の副作用として、頭痛、吐き気、めまい、発熱、かゆみ、呼吸困難、血圧の変動等の反応が20%程度の人に現れたと報告されています.

2.     異種の蛋白(レミケード=ネズミの蛋白)を注射で使用するため、強いアレルギー反応が起きる可能性があります.

3.     遅発性過敏症:一旦中止後、再投与した時に強い反応が出たことが報告されています.

4.     感染症;古い結核が再燃したり、隠れた感染症が症状を現したりすることがあります.

5.     製造過程で牛のアルブミンを使用しています.BSEの原因である異常プリオンが混入する可能性は否定できません.従って、BSEがうつる(伝染性海綿状脳症;TSE)可能性も否定できません.現在までにTSEが発現したという報告はありませんが、エンブレル投与患者のうち2例がクロイツフェルト・ヤコブ病様の症状を示した報告があります.

6.     その他、ループス様症候群(0.05%)、脱髄疾患(0.03%)、リンパ腫、心不全症状の悪化などが報告されています.

■     青少年への投与で、リンパ種、悪性腫瘍、乾癬 などの危険が増すとFDAから注意が出されました(8/2009).

 

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4.分子量化合物

JAK阻害薬

細胞内で炎症サイトカインなどの蛋白質の活性化(リン酸化)にかかわる分子を標的とする薬剤 (免疫抑制効果).
MTX等の抗リウマチ薬に生物製剤を加える前の段階での使用や、生物製剤が無効な例に対しても有効な薬剤と考えられています.
経口投与
が可能で、 生物製剤よりはるかに安全で安価などの利点がある と期待されていましたが、結局生物製剤と同じ位の薬価となり、医療費の負担は生物製剤と変わらないようです.

<トファシチニブ(一般名)商品名:ゼルヤンツ錠5mg

バリシチニブ(一般名)商品名:オルミエント錠2mg/4mg>

 

 

.開発中の薬剤
 

シクロスポリン

(サンディュン、ネオーラル)

リウマチに対する効果を見る治験が行われています(免疫抑制剤).

低分子量化合物

JAK阻害薬

Syk(シック)阻害薬

細胞内で炎症サイトカインなどの蛋白質の活性化(リン酸化)にかかわる分子を標的とする薬剤 (免疫抑制効果).
JAK阻害薬Syk(シック)阻害薬などの治験がすすめられています.

   
   

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治療効果の判定

ポーラスの判定基準ACRコアセットDAS28 #

1:ポーラスの判定基準 Modified Paulus composite criteria,Arthritis Rheum 33:477,1990)

  1. 朝のこわばり時間が30分以内、又は3ヶ月前の半分以下

  2. 痛い関節の数が、3ヶ月前の半分以下

  3. 腫れた関節の数が、3ヶ月前の半分以下

  4. 血沈の値が、女性30mm以下、男性20mm以下

治療開始後3ヶ月目に評価する.このうち3項目を満たせば、治療効果ありと判定

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2:ACR・コア・セット (Arthritis Rheum 36:729,1993)

アメリカ・リウマチ協会(ACR)が作成した評価基準 です.日本でも、薬剤の有効性を評価する基準に広く使われています.

@ 疼痛関節数
A 腫脹関節数
B 患者による疼痛の評価
C 患者による全般的活動性の評価
D 医師による全般的活動性の評価
E 患者による運動機能の評価  #
F 血沈、CRPの値
G レントゲン所見

の8項目でリウマチの活動性の評価を行います.
@とAの項目で20%以上の改善があり、B〜Fのうち、3項目で20%以上の改善が認めれる場合、「ACR基準20%の改善あり(ACR20)」 と判定されます.

B〜Dは、Visual analogue scale という10cmの物差し上に自分の評価を示して判定します.Eは、MHAQ を使います.しかしながら、B疼痛、C全般的活動性、E運動機能という、3項目の患者さん自身による評価項目は、ほとんどの患者さんがこれらを区別して 判定するのが難しいようです.そのため正確な評価が出来ているかどうかの疑問が残ります.

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3:Disease Activity Score (DAS28)
(http://www.das-score.nl/) 

ヨーロッパから始まった評価法です. 下図に示された28関節のうち、圧痛(A)腫れ(B)のある関節数、血沈(C)の1時間値 またはCRP(E)*(mg/dl)、全般的な病状の評価値(D)** から病気の活動性を評価する計算方法で、ヨーロッパを中心に使用されています.


 < http://www.das-score.nl/ から引用 >

*

CRPの値(E)は、original では mg/L の単位で入力しますが、下の計算式では、日本で通常使われている単位(mg/dl)で入力できるように変更してあります.

** 

全般的な病状の評価値(D)は、Visual Analogue Scale という10cmの物差しの上で、自分の病気の悪さが何cm位になるかを評価してmm(ミリメートル)の単位で表します.


<< 血沈値を使う場合の計算式 >>
DAS28ESR = 0.555×√(A)+0.284×√(B)+0.7×LN(C)+0.0142×(D)

DAS28-ESR>計算表の呼出


<< CRP値を使う場合の計算式 >>
 
(一般的に、CRPを使う方が血沈jの値を使うよりも点数が低めに出るようです.)
DAS28CRP = 0.555×√(A)+0.284×√(B)+0.36×LN((E)*10+1)+0.0142×(D)+0.96

DAS28-CRP>計算表の呼出

DASは、病気の活動性を絶対値として示していますから、いろいろな状況での活動性を比較する時に、より有用と考えられます.一般に、DAS28が 5.1以上では病気の活動性が高いことを、3.2未満では活動性が低いことを意味します.ACRの緩解基準を満たすと、DAS28は2.6以下の値となります. 下の表を使うと治療効果の判定にも利用できます.

 

 

DAS28による治療効果の判定

治療前のDASとの差
(改善)

1.2 以上 0.6 〜
1.2 未満
0.6 未満

現在の
DAS28

3.2 未満 有  効 やや有効 無 効
3.2 〜
5.1 未満
やや有効 やや有効 無 効
5.1 以上 やや有効 無 効 無 効
  • 現在のDAS28の値(行)と、治療前と現在のDAS28との差(列)の交点に 治療効果の評価が示されます.

 

http://www.DAS-score.nl

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関節リウマチの臨床的緩解基準 (ACR) #

  以下の必要条件のうち、5項目以上を少なくとも2ヶ月連続して満たすとき緩解とする

 

  1.”朝のこわばり”が15分以上持続しない

  2.疲労感がない
  3.関節痛がない
  4.関節の圧痛、または運動痛がない
  5.関節または腱鞘に軟部組織の腫れがない
  6.血沈1時間値;女性 30mm以下、男性 20mm以下
除外項目:活動性血管炎の臨床症状である心膜炎,胸膜炎,または筋炎および原因不明の最近の体重減少,または関節リウマチが原因かもしれない発熱がある場合は,完全な臨床的緩解とはいえない.
Pinnals RS, et al : Preliminary criteria for clinical remmisision in heumatoid arthritis. Arthritis Rheum 24:1308-1315,1981.

緩解:リウマチでは、病気の活動性をコントロールできても関節の変形、強直、筋力低下などによる機能障害が残り、治癒という言葉が適当でない。従って、上記の条件を満たす緩解という状態を治療の目標とします。

DAS28との関係 : この緩解基準を満たすと、DAS28は2.6以下の値となります.

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漢方薬や代替医療 #

リウマチは、肝臓病や糖尿病と同じように長期の療養を要するという特殊性のために、民間療法(代替え医療#、非証明医療)がつけ込みやすい疾患です.新しい治療法の試みは数多くありますが 、大部分が流行的、伝聞的なもので、それらはまだ医学的(科学的、統計学的)な分析が十分されたものとは言いきれません.

今後,これらの中から有効な治療法が現れる可能性も否定できませんが,それは患者さんと医者の両方を理解させるだけの充分な合理性を持ったものであることが必要です.  

漢方薬についても、現在のところリウマチに対する有効性が認められているものはありません.神秘的な響きに惑わされ、副作用がないと信じている方も多いのですが、間質性肺臓炎などの重い副作用の報告もあり、注意が必要です.

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リウマチの経過に影響する周辺要素

1.心理的要素

長期の療養が必要という病気の特性のため,患者さんの心理状態は深刻になりやすいものです.そのため,自分の病気の活動性を必要以上に悪く解釈しやすい 方もいます.

専門医の協力や向精神薬などが必要となることもありますが、この事が病気の活動性、進展にどの程度影響しているかのを、正確に判断することは難しい問題です .

性   格

性格や気質、簡単には「陽気か」「陰気か」等が病気の経過に影響を与えている事もあるように思われます.診療の経験からは、明るい性格の人のほうが経過が良いという印象を持っています. ただし、自分の性格をコントロールする事が難しいの も事実です.

不 安 感

慢性の疾患であり、将来への不安や期待したほど症状が改善しない時等は、治療への不満や不安が高じることもあります.病気の性質を正しく理解して、やみくもな恐怖心を抱いたり、高すぎるゴール持ちすぎない事が必要です.

劣 等 意 識

見かけ以上に社会生活が制限されることへの劣等感も生まれます.近所の行事や友人との旅行などで、つい無理をしすぎてしまうことが病気を悪化させるきっかけになったり もします.家族や社会の理解と協力が必要とされますが、不足しているのが実情です.

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2.運動や労働等の外的要素

過度の仕事や労働(=過労)、強すぎる運動は病気を悪化させる大きな原因のひとつです.  ただし、関節の可動域を維持したり、筋力を維持したりするためには、負担にならない程度の日常生活をしながら通院 ・治療を続けるのがよいとされています .その程度(強さ)は、患者さん自身が一番よくわかるのですが、比較的見過ごされやすい要素です.

負担のかけ過ぎ

病気の活動性が落ち着いてくると、つい油断して頑張り過ぎたり、他人の目を気にしてつい無理をしたりで、病気を悪化させる事があります.

過度の理学療法

「運動すればよくなる」という安易で単純な誤解は、症状悪化のきっかけになることもあります.

無責任な
周囲の励まし

 

お世辞のつもりの励ましで運動を押付けたり、正当な治療を放棄させたりすることがあり、病気を悪化させる原因となることもあります.

 

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家族へのアドバイス

治療により,病気の活動性をよくコントロールできた後でも,奪われた機能は障害として残ります.患者さんの苦痛は、外見だけでは判断できないことも多く,家族や社会の理解と協力が大いに求められるのもそのためです.

しかし,周囲の人の善意を装った無責任な励ましや治療法(代替医療・非証明医療)のすすめは,患者が病気を軽視するような結果を招くことがあり,警戒が必要です.

 

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